「リボンの騎士ザ・ミュージカル」独り善がりレポ(その16)

宮殿の広間。サファイアとフランツ、二人以外は誰もいない。「どちらかが息絶えるまで戦う。」「どちらか、が?」「そうだ。」「あなたと私、どちらかが?」「・・・くどい!」煮えきらぬサファイアに剣を振りおろすフランツ。身を翻し、その剣を避けるサファイア、意を決したようにつぶやく。「では、そのように。」


激しい剣と剣のやり取り。二人とも一歩も引かぬ攻防。スッとどこからか姿を現したヘケート。人間の魂を手に入れ、愛するフランツ王子もすぐそこに。あとは邪魔者のサファイアがいなくなれば、自分が想い続けた人間の愛を手に入れることができる。「勝って!サファイアに勝って!そうしたら私は亜麻色の髪の乙女になろう・・・。」剣をはじき、対峙するサファイアとフランツ。祈るヘケート・・・私の願いは叶えられる!!


間合いを詰め、互いに剣を出す二人、突き出した剣がサファイアの胸に突き刺さる。フランツ王子の勝利!だが様子がおかしい。剣を捨てサファイアに駆け寄るフランツ、「なぜ自分から剣に飛び込んだ!」答えないサファイア。「なぜだ。」


瀕死のサファイア。そこに牢番たちに連れられた王妃が駆け込んでくる。フランツに抱えられた血まみれのサファイアを見つけ悲痛な叫びをあげる王妃。「サファイア!私の娘!」


娘?どういうことだ?未だに状況が飲み込めないフランツ。「・・・フランツ殿下。」サファイアが弱弱しくもはっきりと口を開く。「フランツ殿下。覚えておられますか。亜麻色の髪の乙女を、復活祭で踊った・・・牢獄から西の門までお連れした・・・・・・。」なんでそんなことまで・・・、自分の初めて愛した女性のことを思い出し、サファイアの言葉と重ねる。「まさか!」ようやく理解したフランツ、それを確認したかのように優しく微笑みを浮かべるサファイア。「ゆえあって私はもうあなたと結ばれることはできません。けれど・・・。」次第に弱っていくサファイア。宙に視線をうつし、だれに言うでもなくつぶやく。「あなたに言いたい、あなたに言えない・・・こうなるまでは言えないことばかり。」再びフランツ王子の顔を見つめ、明るく幸せそうな笑顔を浮かべると、「でも、もう言えました。」そう言い残し息を引き取る。



「あなたは私を助けてくれた!なぜそう言ってくれなかった!」全てを知ったフランツの叫び。サファイアを抱き寄せ号泣する王妃。やがて集まった人たちもその悲しい結末に言葉も出ず立ち尽くすばかり。魔女ヘケートも同じようにそこに立ち尽くしていた。「愛されるより愛される愛。それが愛とは知らなかった。愛されたかった私は、愛したサファイアに負けた・・・。」人間としての愛を手に入れたかったヘケート。自らの命をもってその愛を示したサファイアの姿に全てを悟り・・・サファイアの亡き骸に近寄り、ふっと息を吹き掛ける。



サファイアを抱き悲しみに打ちひしがれる王妃。冷たい娘の体・・・しかし、次第に温度を取り戻していくのを感じる。「あ・・・!」王妃が驚きの声をあげる。サファイアはまだ生きている!だんだんと息を吹き返すサファイア、その眼差しにはいつもの光が宿ろうとしている。血だらけだった体にもすでに血のあとは無い。全て砂を払うように消えてしまったのだ。


サファイアは静かに身を起こすとゆっくり周りを見渡し、自分の体を触り自分に起こった奇跡を確認した。「ヘケートが魂を返してくれたんだわ。」女の子の魂を取り戻したサファイアと、その事実を知り再び笑顔を取り戻した王妃。自分には何がなんだか・・・フランツ王子は目の前で起きている出来事を理解できずにいた。



「何もかも終わったらしい。」大臣がつぶやいた。そう、大臣の野望はもろくも崩れ去った。我が息子を愛するがゆえに他人を犠牲にするという愛の形は、サファイアの純粋な愛に負けたのだった。


どんな罰も受けよう・・・自らの過ちに気付いた大臣はサファイアに深く頭を下げた。父である王の殺害えを計画し、自分の命まで狙った大臣・・・しかし、サファイアはこれを許してしまう。「あなたの命を奪うのはたやすい。しかし、その命を、わたしはあなたに返しましょう。」憎しみには許しを・・・母から教わった言葉を噛み締めるサファイア。「ありがとうございます。」深々と頭を下げる大臣、傍らには息子のプラスチック、そして家臣ナイロンが寄り添っている。これから国を離れ、罪を償う旅が始まる。その永く辛いであろう旅路に二人もついていくと決めたのだ。


旅立つものは旅立つ、残るものは残る。「サファイア、どうか教えてください。」フランツは頭の中の事柄を整理するように話し始めた。「あなたは男なのですか?女なのですか?今は女でも明日には男になってしまうのですか・・・あなたが答えてくれるまで私はもうなにも信じられない!」

フランツの言葉を受け、優しく笑みを浮かべるサファイア。何かこれまでの出来事を懐かしむような笑顔。そしてフランツの前に立ち、こう答えた。「命尽きる日まで私は女です。あなたが信じようと信じまいと・・・。」
その言葉を聞いたフランツ。すっと背筋を伸ばし、サファイアの前に立つ。「その言葉を信じましょう。信じたからこそ言わせて欲しい・・・どうか私のお妃になってください。」腰をかがめ、そっと手を差し出す。「喜んで。」その手に自分の手を添えるサファイア。その瞬間、ゴールドランドとシルバーランドは晴れてひとつの国となった。


祝砲が轟き、人々は祝いの言葉を口々にする。それはやがてひとつの歌声となった。この国の、この世界の人々の未来への希望の歌に・・・。






Fin...




と、ようやく終わった!というか終わらせた!(笑)あ〜長かった、ほんとに長い長いお話です(サフ愛ヤ)

本編はここまで。これからはフィナーレとなるんですが、とりあえずここで一旦締めます。お疲れ自分。というか読んでくれる人がいればそっちの方がお疲れさまという感じですが・・・色々申し訳。



あ〜最後の方、まだ自分の所見を入れてなかった。
第二幕。第一幕と比べると展開が速い。というか展開が飛ぶというかね、そのせいか、より物語に引き込まれるスピード感を感じます。物語の終焉に向けての都合の良いところもあるけど、そこも初日にちょっと引っかかるなと思ったくらいで、あとは気にせずに鑑賞することができました。あとはやっぱりヌーヴォー様。3騎士としてゴールドランド軍へ駆けつけるヌーヴォー様の勇(長すぎるので割愛



あとは・・・サファイアですか。というか高橋愛。男サファイア、女サファイア、そしてカマイア(笑)と上手いこと演じてくれます。最後のフランツとの決闘〜黄泉がえり(復活)のところなんて、自分涙流れっぱなしデスヨ。サファイアの今際の際の告白とか思い出しただけでチュクチュクしちゃいます。ふざけてません、マジデ。そりゃあのシーン見た高橋母も当然のように泣きますわな*1。というかあのときの王妃様、抱き寄せたサファイアを身から離し、サファイアの両手を胸の前で重ねてあげるんです。愛する娘の死を受け入れる母・・・その精神力の強さがこれまた(涙)
あれだけ溺愛してたのに・・・もう、マルシアー!好きだー!(笑)



「あなたに言いたい、あなたに言えない・・・こうなるまでは言えないことばかり。」あぁサファイア健気過ぎるよサファイア!フランツの憎しみを命を賭して受け止めたのも、この告白をやり遂げたいからこそ・・・あんた魂ひとつしかないんだよ!ヘケティ*2にイッコ獲られちゃったでしょ!死んぢゃうぢゃん!私の願いは叶えられるって、ちょ!ま!・・・うわぁぁぁん、みたいな。あー楽しい。


そうそう、省略してますが、あの*3あとヘケートには神様から魂が与えられてます。サファイアの死に嘆き、その復活を祈る人々の歌の間、ヘケートは自分のした事に深い後悔を覚え泣き崩れますが、その姿を見た神様がヘケートにも人間の魂を与えるのです。お前にも魂を・・・って、とても嬉しそうに神様に駆け寄るミキティがとてもかわいい。そして神様箙かおる様と寄り添い・・・て寄り添いすぎだろ!(笑)あんなにほっぺた近づけることないじゃん、エビちゃん
千秋楽後の飲みで一時期、神ヘケの間に少しスキマが出来たとの話ですがどこからか指導が入ったのか藤本さんが嫌がったのか(笑)というか、あの人がガチだとかそんな話もチラホ(R18略)



楽曲について。
「♪よみがえれ〜」という復活の歌。歌い出しはピエール(辻or三好・・・石川)の担当。どちらも良いですよ〜。辻さんの方が低音が響く感じで好みだった覚えがあります。スカウト、騎士、牢番、ナイロン、プラとだんだん歌声が広がっていく様がいい。それにかぶさるヘケートの歌声がまたいいんです。今回のミュージカルでは一般人*4の方たちもけっこういたのですが、その人たちからの評判がよかったのはこの藤本さんの歌声でしたね。「♪愛されるより愛する愛」の部分がまた好きなんだな〜、あ、それに続く「♪それが愛とは知らなかった」の部分も良いわ♪ってほんとあの歌声は素晴らしすぎた。美貴ヲタはDVD出たら確認するように。



そしてフランツとサファイアが結ばれたあとの大団円。みんなで歌う「Mystery of life」・・・この( ^▽^)ハッピー感が素敵。このときは涙の跡も気にせずに笑顔満開ですよ、自分。サファイアも幸せだし、大臣たちもこれからどんな旅に出るんだろうな〜、元気だといいなぁとか好き勝手に妄想に浸れるんです。あの眉間に皺を寄せ、厳しい眼つきをしていたヌーヴォー様も笑顔ですよ。あのヌーヴォー様が?!嘘!だって、命知らずの(割愛



ふぅ(一息)。いくら語っても語りきれないですな(笑)ホント、楽しかったです。今年の夏は最高だった♪
さて本編は終了したし、次のネタに取り掛かりますか・・・。

*1:ヤンタン調べ

*2:魔女ヘケート。滝川出身。

*3:サファイア蘇生

*4:モーヲタ